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飲食店の開業2017.08.23

初めての飲食店開業 失敗しない7つの準備と基本手順

初めての飲食店開業、レストランを開業したシェフ

個人経営で、初めて飲食店の開業を考えている方に、まず何から始めればいいのか、開店までの準備をステップ・手順ごとに分かりやすく解説します。

お店のコンセプトの考え方から、出店エリアを探す方法、資金の目安・集め方(助成金・補助金)、必要な資格・手続きなど、開業初心者でも5分で理解できるようにまとめました。

ステップ1:コンセプトを決める

飲食店開業で失敗する人は、最初に物件を確保し、そのまま勘に頼りながら、成り行きで開業してしまいがちです。
これでは、設計図もないまま家を建てるようなもの。
いくらかかるのか、見込み客がどれだけいるのか、開業すべき場所や必要な広さも曖昧なままとなり、どのくらいの売上で利益ができるのかもわかりません。

まず最初にするのは、どのようなお店にしたいのか、それをコンセプトとして設計すること。

お客さまがそのお店を選ぶ基準となるだけでなく、その後にお店が様々な経営判断をする上で、最も重要な指針となります。
また、開業までにするべきことで迷ったら、コンセプトに立ちかえって判断することで、お店に統一感が生まれ、ブレなくなります。

コンセプトに基づいて、計画的に開業を進めていきましょう。

決めなければいけないことをコンセプトシートにまとめよう

どんなお店にしたいのか、お店の設計図となる『コンセプトシート』をつくります。
しっかりとまとめたコンセプトシートは、その後必要となる事業計画書のベースにもなります。

飲食店 コンセプトシート

以下を順番にまとめていきます。

  • 基本コンセプト  どんなお店にしたいのか?
  • ①ターゲット   どんな人に来てもらいたいか?
  • ②来店動機    どんな時に来店したくなるお店なのか?
  • ③エリアと立地  どんなエリアと立地がふさわしいのか?
  • ④メニュー    ターゲットを虜にするこだわりは?
  • ⑤価格      お客さま一人当たりの料理単価は?
  • ⑥店舗の内外装  ターゲットに訴求できる内外装は?
  • ⑦サービス    ターゲットが期待するサービスは?
  • ⑧スタッフ    ふさわしい人材は?
  • ⑨販促計画    来店したくなる販促の工夫は?
  • ステップ2:エリア選定、立地・物件選び

    ターゲットが見込めるエリア・立地選定ができていないと、集客は非常に難しくなります。
    飲食店の成功のカギは 「場所ありき」で進めない こと。

    まずは、コンセプトシートで設定したターゲットが大勢居そうなエリアを選んでいきましょう。

    エリア選定 エリアを書き出す

    ターゲットによって、最適な場所は変わっていきます。

    オフィス街‐昼間はランチを取りたい個人、夜間は仕事の同僚と少人数で利用する団体
    商業地  ‐お買い物の合間や終わりでの利用が期待できる
    郊外   ‐ファミリーやシニアが主なターゲット、昼と夜でお客さまの傾向が変わる特徴あり

    上記を参考に、ターゲットがたくさん居そうなエリアを書き出していきます。

    初級編:国勢調査の見方

    エリアを書き出したら、対象のエリアの人口を具体的に調べていきます。

    その際に使用するのが、国税調査データである人口統計データ、そして昼間人口データになります。
    それぞれ、対象とするエリアを管轄する市区町村のホームページを開き、そこからダウンロードすることで入手できます。

    住民の人数を調べる

    世田谷区 人口統計表
    こちらは東京都世田谷区のホーム―ページからダウンロードした人口統計データです。
    年代別、性別に細かく住民人口が記載されています。

    年代別男女別の人口を調べ、それを他の候補エリアと比較して、開業にふさわしいエリアを見つけていきます。

    また、この人口統計データを10年分まとめていくと、実際にターゲットとする年代は増えているのか、確認することができます。
    下の図は世田谷区の年代別の人口データを10年分まとめ、グラフ化したものです。

    世田谷区 年代別人口推移
    世田谷区に住んでいる20歳から39歳の人口比率は減少傾向にあるものの、人口自体は増えていることがわかりますね。

    ターゲットとする年代、性別の住民が現状多く住んでいるエリアなのか、増えているエリアなのか、分析してエリアを評価し、絞り込んでいきましょう。

    オフィス人口を調べる

    昼間人口を調べることでオフィス人口は把握できます。
    昼間人口とは、常住人口に他の地域から通勤してくる人口を足し、さらに他の地域へ通勤する人口を引いたものです。
    昼間人口は対象エリアの各ホームページから統計データをダウンロードすることができます。

    参考までに東京23区の昼間人口、夜間人口(住民人口)の人口密度ランキングを記載します。
    人口密度が高くなるほど、人通りが多いエリアと言えます。

    【昼間人口 人口密度ランキング トップ5】

    順位 エリア 人口密度 昼間人口
    第1位 千代田区 70,382人/k㎡ 819,247人
    第2位 中央区 59,521人/k㎡ 605,926人
    第3位 港区 43,568人/k㎡ 886,173人
    第4位 新宿区 41,147人/k㎡ 750,120人
    第5位 渋谷区 34,460人/k㎡ 520,698人

    【夜間人口 人口密度ランキング トップ5】

    順位 エリア 人口密度 夜間人口
    第1位 豊島区 21,881人/k㎡ 422,995人
    第2位 中野区 20,189人/k㎡ 289,176人
    第3位 荒川区 19,931人/k㎡ 191,626人
    第4位 文京区 18,269人/k㎡ 345,423人
    第5位 目黒区 18,253人/k㎡ 293,382人

     

    文中の統計データは東京都ホームページ 平成22年国勢調査による東京都の昼間人口に基づいています。
    http://www.toukei.metro.tokyo.jp/tyukanj/2010/tj-10index.htm

    コンセプトにふさわしいエリアで物件を探す

    候補となったエリアから、人口統計データを参考に、ターゲットに見合ったエリアを絞り込みます。
    絞り込んだエリアから、ターゲットが一番集まりそうな場所を確定させて、その場所を中心に物件を探していきます。

    物件は一般的に、インターネットで探す、不動産会社へ依頼する、実際に現地に行って自分の足で探す、と3つの方法があります。

    家賃は想定する売上の10~15%の範囲で考えていきましょう。

    商圏と立地で売上の7割が決まる

    大事な立地判断で失敗しないために、めぼしい物件が決まったら、専門家に調査を任せるのも有効な手です。
    エリアマーケティングを使った数値的根拠のある商圏分析、ターゲットが集まる場所なのかを調べる動線調査、視認性調査など、詳しく調査をする業者を選ぶようにしましょう。
    これら分析調査資料は、金融機関で融資を受ける際の参考資料としても使用できます。

    エリアマーケティング、動線調査、立地調査

    弊社では、物件のエリア、商圏、立地の調査を現地に実際に出向いて、詳細に調査を行っています。詳しくはこちら

    立地&商圏調査おまかせ分析サービス
    https://unisiacom.co.jp/investigation/

    ステップ3:事業計画書の作成

    次に、事業計画書を作成し、やりたいお店を数字で具体化していきます。

    どのくらいの売上を想定しているのか、その為にどれだけの客数、客単価が必要となるのか。
    金融機関からの融資を受ける際の審査など、資金調達に必要となります。

    甘い設定の計画は後で苦しくなるため、計画は客観的にたてていきましょう。

    • 売上計画  どのくらい売れるのか
    • 投資計画  いくら必要か、いくら借りるか
    • 損益計画  どのくらい儲かるのか
    • 返済計画  借りたお金をいつまでにいくらづつ返していくのか

     

    下の図は飲食店カテゴリー別の月商の目安を店舗坪数ごとにまとめたものです。
    売上計画の参考としてご利用ください。

    飲食店カテゴリー別 月商の目安

    単位:千円

    一般飲食店 レストラン 食堂 日本料理店 西洋料理店 中華料理店 そば、うどん すし 喫茶店 バー
    店舗面積
    坪当たり
    月商
    162 163 143 138 174 191 145 175 71 218
    10坪の場合
    の月商
    1,616 1,626 1,427 1,381 1,739 1,907 1,450 1,748 713 2,183
    20坪の場合
    の月商
    3,232 3,252 2,853 2,762 3,478 3,813 2,900 3,497 1,425 4,365
    30坪の場合
    の月商
    4,848 4,878 4,280 4,143 5,218 5,720 4,350 5,245 2,138 6,548

    ※日本政策金融公庫 『小企業の経営指標 2016』より、筆者が一部加工

    ステップ4:資金調達

    開業にあたり、自己資金は、できれば総投資額の50%は用意したいところです。

    また、初期の開業資金だけでなく、運転資金も準備する必要があります。
    運転資金は、3か月分の仕入れ代金、自分以外のスタッフ人件費、家賃、水道光熱費などを対象に準備しておくのが良いでしょう。

    開業資金の目安

    開業資金の目安は坪当り100万円を基準に考えます。
    つまり、20坪の場合だと、2000万円の開業資金が目安となります。

    また売上から開業資金を逆算する方法もあります。
    その場合、基本的に売上6ヵ月〜8カ月分の開業資金で考えるようにします。
    月商300万円とした場合の開業資金は1800万円、多くても2400万円が目安となります。

    参考までに、飲食店開業時の平均開業資金、及び飲食店開業時の初期投資費用の内訳イメージを記載しておきます。

     

    ■開業時の平均開業資金

    飲食店開業時の平均開業資金 新規開業白書

     

    ■飲食店投資費用の内訳イメージ (店舗面積20坪、月額賃料35万円の場合)

    物件取得費用
    保証金、敷金 350万円 ※賃料×10カ月
    礼金 35万円 ※賃料×1カ月
    仲介手数料 35万円 ※賃料×1カ月
    オープン前賃料 105万円 ※賃料3カ月分を想定
    物件取得費用 合計 525万円
    店舗投資費用
    内外装工費、設計費 1,000万円 ※坪50万円と想定
    看板施工費 30万円
    厨房設備費 200万円 ※新規で購入
    給排水設備費 50万円
    食器等、各種備品 50万円
    スタッフ採用費 10万円
    開業前人件費 10万円
    販売促進費 50万円
    その他開業前経費 50万円
    店舗投資費用 合計 1,450万円
    初期投資費用 合計 1,975万円

    資金の集め方

    開業資金はまずは自己資金、もしくは金利の発生しない方法で集めていきます。
    それでも足りない場合、金融機関から融資を受けることで開業資金を用意することになります。

    以下は開業資金を集める際の優先順位です。

    1. 基本は自己資金
    2. スポンサーをつける、投資してもらう
    3. 両親、兄弟親戚から借りる
    4. 国民生活金融公庫や各自治体の融資制度を利用する
    5. 銀行の融資

    補助金と助成金について

    補助金や助成金は返済の必要がなく、「もらえるお金」です。
    国や自治体から支給される助成金・補助金は申請し、審査をクリアすれば開業後にもらえるため、有効に活用するべきでしょう。

    主な助成金、補助金の上限額

    • 創業補助金         200万円
    • 小規模事業者持続化補助金   50万円
    • 分煙環境整備補助金制度   300万円

     

    ステップ5:内外装の設計と施工

    お店は一度作ってしまうと、後でやり直しが効きません。
    そのため、内外装の設計や施工を行う業者選びは、とても大切です。

    内外装の設計、施工は知り合いの業者にお願いするのではなく、店舗の施工実績が豊富な信頼のある業者を選ぶようにします。
    また1社だけでなく、複数の業者に見積もりを依頼し、比較して検討するようにしましょう。

    業者には自分のお店のコンセプト、イメージをしっかりと説明しておきます。
    意見を言える業者であることも大事な業者選びのポイントです。

    ステップ6:メニュー構成を決める

    メニューはコンセプトに合ったものを考えましょう。

    メニューのこだわりは、他のお店にはないものであり、ターゲットが満足するものか。
    『○○を食べるならこのお店』と言ってもらえるメニューであることが重要です。

    また、ターゲットが納得する価格設定でなければいけません。

    一般的には、原価率は全体をならして30%で提供できる価格を考えます。
    しかし、すべてのメニューをきっちり原価率30%で合わせる必要はなく、集客用のメニューとして原価率が40%を超すもの、サイドメニューで原価率20%以下のものなど、全体の構成を考えながら価格を設定していきましょう。

    ちなみに仕入先の選定は、価格だけでなく、毎日安定した食材を供給できることにも、注意が必要です。

    ステップ7:届け出と資格の手続き

    飲食店の開業にあたっては、いくつか届出と資格が必要となります。
    少なくとも1ヶ月前には準備できるようにしておきましょう。

    【届け出

    • 保健所‐飲食店営業許可
    • 消防署‐防火管理者選任届、防火対象設備使用開始届
    • 税務署個人事業主の開業届出書
         ‐所得税の青色申告承認申請書(青色申請をする場合のみ)

         ‐給与支払い事務所の開設届(人を雇う場合のみ)

    【資格】

    • 食品衛生責任者の資格

     

    お店のオープン時に気を付けること

    開業時はお客さまが実際に来るのか、不安ですよね。

    そんな不安を抱えることで、開業時によく失敗するのは、オープンに合わせて大々的にチラシなどで派手なオープンを迎えてしまうこと。
    集客したい気持ちはわかりますが、これでは店舗運営が慣れないうちに多くのお客さまを対応することになり、せっかくのお客さまに悪い印象を残してしまいます。

    まずは、レセプション(関係者へのお披露目会)を行い、関係者から感想やアドバイスをもらうようにしましょう。

    その次はプレオープンでこっそりと開店することで、3~5日程度の店舗運営の慣らし運転を行い、その間にメニューやオペレーションの見直しを行います。

    そしてようやく満を持して、販促をかけてグランドオープンを派手に行い、多くのお客さまを迎え入れるのです。

    最後に

    最初に決めたコンセプトが全ての意思決定の基礎になっていることがわかってもらえたでしょうか?
    これは新しいメニューの開発やサービスの企画など、お店がオープンした後も変わりません。

    お店の方向性にズレがでないように、しっかりとコンセプトを設計することで、お店を繁盛させていきましょう。

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